▲ 日野自動車(株)羽村工場
▲ 羽村市スイミングセンター
羽村市、NEDO(国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構)、高砂熱学工業(株)、石原産業(株)、東京電力エナジーパートナー(株)、森松工業(株)、日野自動車(株)、産業技術総合研所では、100℃程度の廃熱を有効活用する蓄熱システムの本格実証試験を7月から開始しました。
工場などから出る100℃程度の廃熱は、これまで大部分が未利用のまま放出されていたことから、その有効活用が求められてきました。また、電気と熱を同時に供給するコージェネレーションシステム(CGS)は省エネルギー技術として期待されていますが、熱利用の需要が少なく余剰の熱エネルギーが発生していると言われています。
この蓄熱システムでは、これらの100℃程度の廃熱やCGS設備からの熱を活用することができます。
羽村市での実証試験は、工場から出た廃熱をトレーラーなどで別の場所に運んで活用する「オフライン熱輸送型」です。日野自動車(株)羽村工場で発生した廃熱を「ハスクレイ」と呼ばれる素材(蓄熱材)に蓄え、2キロメートル離れた羽村市スイミングセンターへ大型トレーラーで輸送し、温水プールの熱源として利用します。
▲ 蓄熱材(ハスクレイ)
空気中の水分を凝縮して熱を発生させる性質があります。
第8回羽村市環境フェスティバルにも出展しました。
ここがスゴイ1:熱エネルギーを直接供給できるので、温水プールなどボイラーの燃料費が削減できます。
ここがスゴイ2:スイミングセンターの除湿にも活用できます!
ここがスゴイ3:これまで利用が難しかった、工場から出る100℃程度の廃熱が利用できます。
この蓄熱システムは、ハスクレイの詰まった「蓄熱槽」を乾燥状態で維持すれば熱のロスが発生しないことと、熱源から利用先まで、蓄熱媒体をトレーラーなどでオフライン輸送することで、パイプラインをつなぐ方法よりも設備コストが安く、地下埋設物などの制限を受けないなどの利点があります。
また、熱エネルギーを受け取る側のスイミングセンターとしても、温水プールのボイラーなどに使う燃料費が削減されます。加えて、センター内の除湿にも活用できるなど大きなメリットがあります。この実証試験は季節ごとのデータを取得しながら実施する予定です。
蓄熱システムは今後、地方自治体の汚泥・ごみ焼却場廃熱、工場廃熱などの広域熱利用システムとしての活用が期待できます。加えて、工場などで発生する低温未利用廃熱を、除湿・暖房・乾燥工程などに適用するシステムとしても展開が期待できます。