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あしあと

    平成26年第3回羽村市議会市長所信表明要旨

    • [2014年9月8日]
    • ID:7125
    羽村市長 並木心

    (平成26年9月8日)

    おはようございます。

    本日ここに、平成26年第3回羽村市議会定例会を招集いたしましたところ、議員各位のご出席を賜り、厚くお礼申し上げます。

    定例会の開会にあたり、私の所信の一端と市政運営の状況について申し述べ、議会並びに市民の皆様のご理解とご協力をいただきたいと存じます。

    今年の夏の天候について、気象庁は30年に1度の異常な状態で、その原因は偏西風の蛇行であると結論付けているように、特に大気の状態が不安定で、全国各地で1時間あたり100ミリを超える集中豪雨が発生し、それに伴う土砂災害等により、大きな被害を被るとともに、多くの尊い人命が犠牲となっております。

    特に、8月20日に発生した広島の土砂災害は、70人を超える犠牲者と、400棟に上る建物被害を出し、今なお、懸命な捜索活動と復旧作業が続けられております。

    こうした、広島を含む今年の夏の災害でお亡くなりになられた方々のご冥福をお祈り申し上げますとともに、被害に遭われた方々に、心よりお見舞いを申し上げます。

    さて、国政に眼を向けますと、去る9月3日に内閣改造が行われ、第2次安倍内閣が発足いたしましたが、改めて、経済再生による国と地方の財政の健全化、持続的な社会保障制度の構築のほか、地域創生の姿勢が打ち出され、税財政制度と社会保障制度の見直し、税番号制度の導入、子ども・子育て支援新制度の実施など、成長と発展を遂げるための改革を推し進めようとしておりますが、これらは、基礎自治体において、さまざまな影響を受けることとなります。

    まず、地域創生の面では、基礎自治体を取り巻く諸情勢は、人口減少社会の到来、少子高齢化の進展、高度経済成長期に集中的に整備された都市インフラ等の更新、首都直下地震等への対策など、将来を見通す中で、極めて重要な問題に直面しております。

    政府においては、総理大臣を本部長とする「まち・ひと・しごと創生本部」が設置されることとなり、このことについては、地方経済の活性化や人口減少対策を目指す政府の強い姿勢の表れと捉え、歓迎するとともに、期待をしているところであります。

    特に、人口減少社会に対応していくためには、雇用や収入の安定、長時間労働の是正、子育て支援施策の充実、男性の育児参画の促進など、若者が家庭を持ちやすい環境を創出していくことが重要であり、基礎自治体が日夜取り組む行政サービスについては、それぞれの自治体の創意工夫や努力が報われる制度設計としていくことが肝要であります。

    そして、地方に暮らす女性や若者をはじめとして、性別・年齢に拘らず、意欲・個性・能力に応じて活躍できる社会を築くため、改めて、地域に合った制度や仕組みを創生していくことを望むものであります。

    次に、税財政制度の面では、消費税率10パーセントへの判断が迫られる中、基礎自治体が特出するものとして、法人実効税率の見直しが挙げられます。

    我が国の法人関係税収の6割が地方の重要な財源となっている現状を踏まえれば、法人実効税率を引き下げる場合については、地方の行財政運営に支障が生じないよう、代替財源が必ず確保されなければなりません。

    基礎自治体は、住民に最も身近で暮らしに直結した広範な行政サービスを展開しており、今後ともそれを持続的に実施していくためには、安定的な税財源の確保が不可欠であります。

    羽村市においては、全国市長会や東京都市長会とともに、国に対し、基礎自治体が市民生活のために果たしている役割と現場の実態を十分認識し、地方税財源の充実強化を図るよう、強く要望しているところであります。

    次に、経済の面では、内閣府が8月に発表した4月から6月期の国民総生産の速報値は、年率換算で6.8パーセントの減少と6か月ぶりにマイナスに転じ、その下げ幅は、東日本大震災以来の大幅なものであったと報道されております。

    このような状況下での市内の経済情勢について、7月から8月にかけて実施した製造業への調査では、自動車製造業において、トラックの需要は今年の計画を上回るものの、乗用車の生産は、消費税率の引き上げに伴い、個人消費が落ち込んでいる影響を受けているとのことであります。

    また、自動車関連の板金加工やプラスチック加工についても、高い水準の受注が続いているとのことでありますが、国際競争力を高めていくため、市内の部品製造業の中には、発注元から価格の引き下げ要請を受けているところもあるとのことであります。

    このように、羽村の中小企業や小規模事業者は、地域の経営資源を最大限活用し、経済や雇用を懸命に支えておりますので、市では、さまざまな企業支援制度を積極的に活用し、引き続き、市内産業の活性化と景気対策を強力に推し進めてまいりますとともに、国に対しては、国内の企業の新たなチャレンジを促し、新しいアイデアから社会的な意義や価値を生み出すことで、日本の技術を世界へ広げていく政策の展開を期待するものであります。

    さて、今次定例会は、平成25年度決算の認定について、ご審議をいただく議会であります。

    平成25年度の市税収入については、ほぼ横ばいの傾向にある一方、社会保障費が増加の一途をたどるなど、財政負担が拡大傾向にあることを踏まえ、将来に渡り、安定的で健全な財政運営が図られるよう、行財政改革基本計画に基づき、効率的かつ効果的な行財政運営に努めてまいりました。

    その結果、各会計ともに、所期の目的を達し、それぞれ黒字決算として締め括ることができました。

    一般会計決算の規模でありますが、歳入は、214億5千778万円、歳出は、208億7千624万円の規模となり、前年度と比較し、歳入で、5.0パーセントの増加、歳出で、4.9パーセントの増加となりました。

    決算規模が拡大した主な要因は、少子高齢化や経済情勢等を反映し、民生費が伸びていることのほか、庁舎耐震改修等工事の施工により、普通建設事業費が増加したことなどが挙げられます。

    実質収支額は、繰越明許費として翌年度へ繰り越した、庁舎耐震改修等工事及びあきる野市道548号線道路拡幅事業の、3千444万円を控除し、5億4千710万円となりました。

    各事業の成果等、細部については、決算審査の際に申し上げますので、ここでは財政上の主な指数等により、平成25年度における財政運営の状況をお示しいたします。

    まず、財政の弾力性を示す経常収支比率については、94.9パーセントで、前年度と比較し、0.8ポイント減少いたしました。

    財政力指数については、3か年平均で、0.946となり、前年度と比較し、0.002ポイント低下いたしました。

    次に公債費比率については、4.6パーセントで、前年度と比較し、0.6ポイント減少し、市債残高についても、前年度と比較し、0.8パーセント減少しております。

    このような中、平成25年度末における財政調整基金の残高は、24億9千497万円となり、前年度末残高に比べ、2億1千129万円増加いたしました。

    以上、決算の概要について申し述べましたが、平成25年度に計画いたしました事業については、着実に執行でき、所期の目的を果たしたものと捉えております。

    次に、羽村駅西口土地区画整理事業について申し上げます。

    羽村駅西口土地区画整理事業の事業計画変更にあたっては、昨年8月に施行者としての換地設計(案)を決定し、縦覧に供したところ、認可権者である東京都に対し、539人から延べ912通の意見書が提出され、そのうち、350人から口頭陳述の申し出があったところであります。

    これを受け、東京都では、6月に生涯学習センターゆとろぎにおいて口頭陳述の聴取を行い、350人のうち、208人から口頭陳述があったとの説明を受けております。

    現在、これらの陳述内容への施行者としての見解を作成している段階にあり、口頭陳述を含めた意見書の審査については、「東京都都市計画審議会」に付議される予定となっております。

    市では、事業計画変更の手続き状況を見守りつつ、移転実施計画の策定作業等に取り組んでまいります。

    羽村駅西口土地区画整理事業については、この地区を安全で安心して暮らせる住環境として整備するとともに、駅前を中心とした商業の振興を図ることにより、美しく快適で住み良い活力に満ちた都市とするため、引き続き、全力で取り組んでまいります。

    次に、生涯学習社会の実現に向けた取り組みについて申し上げます。

    まず、平和啓発事業として、市では、戦後50周年を契機として、平成7年に「羽村市平和都市宣言」を行うとともに、平成24年には、市の平和施策を一層前進していくため、「平和首長会議」に加盟し、恒久的な平和思想の普及啓発に努めてまいりました。

    戦後69年が経過し、戦争体験者が減少していく中、戦争の悲惨さや平和の大切さを学び、自ら発信していくことができる人材を育成するため、8月、市内の中学生6人を広島へ派遣する「広島平和啓発施設見学会」を実施いたしました。

    現地において、中学生は、平和記念式典への参列、平和啓発施設の見学、被爆体験者との交流を行ったほか、全国の15自治体が参加した「ヒロシマ青少年平和の集い」において、積極的に交流を図ったとの報告を受けております。

    また、羽村に帰り、8月15日の終戦記念日には、平和の企画展の会場において報告会を行い、それぞれが広島で感じたこと、学んだこと、伝えたいことを発表するとともに、それらの想いを、来年度に計画している戦後70周年記念誌に寄稿していくこととしております。

    我が国を取り巻く安全保障の環境が厳しさを増している中、世界唯一の被爆国として、憲法に定める崇高な平和主義を堅持していくことが重要であるとの認識に立ち、市では、来年の戦後70周年に向け、今後も、若い世代を中心とした平和啓発活動を行ってまいります。

    次に、子ども飛行機展ですが、8月、多摩島しょ広域連携活動助成事業として、青梅市、福生市との合同により実施いたしました。

    今回は、「空を飛ぶ」ということを身近に感じてもらう中で、科学や技術などに関しての興味や、ものづくりの楽しさを、次世代の子ども達に伝えていくことに視点を置き、合わせて、飛行機の歴史を学ぶ機会といたしました。

    期間中は、操縦席に座って大画面に映されたシミュレーター映像を見ながら飛行機の操縦体験を楽しんでもらうとともに、紙飛行機を作って飛ばすワークショップも開催し、大変、好評であったとの報告を受けております。

    次に、小中学校の部活動では、夏休みの間、部活動や地域活動において、児童・生徒が生き生きと活動する姿を随所で見ることができました。

    全国規模の大会では、羽村第一中学校が全国中学校新体操選手権大会に出場するとともに、全日本中学校陸上選手権大会に羽村第一中学校と羽村第三中学校が揃って出場するなど、中学生の活躍が報告されております。

    また、はむら夏まつりでは、小中一貫教育の成果の一つの形として、中学校区単位で、小中学生合同による演奏が行われ、改めて、音楽の持つ連帯感を肌で感じたところであります。

    次に、防災教育の分野では、6月から8月までの期間、全小学校において、高学年を対象に福生消防署と連携した救命入門コースを開催いたしました。

    これは、地域社会の一員である自覚を身に付けるよう取り組んでいるもので、中学校2年生で行っている杏林大学と連携した救急救命講習や、総合防災訓練への中学生の参加と合わせ、自助・共助の取り組みを推進していくことを狙いとして実施するとともに、引き続き、教職員対象の普通救命講習を行い、総合的な防災教育の充実を図ってまいります。

    次に、特別支援教育では、平成27年度に羽村西小学校と松林小学校に開級を計画している特別支援学級の説明会を開催するとともに、夏季休業期間に教員の資質向上を図るため、特別支援教育に関する研修、保護者や地域の皆様を対象とした講演会を行ってまいりました。

    こうした取り組みにより、発達障害等の児童・生徒への指導力の向上が図られたものと捉えております。

    今後も、生涯学習の推進の分野においては、市民一人ひとりが自己の人格を磨き、学んだ成果を地域社会に還元することで、豊かな人生を送ることができるよう、生涯学習基本条例及び生涯学習基本計画に基づき、各ライフステージに沿い、「楽しく学び、つながり、活かす、生涯学習」を推進してまいります。

    さて、羽村の夏を彩る一大イベントとして、7月には、「第39回はむら夏まつり」が、「サンキュー・感謝」をテーマに開催されました。今年も、約20万人の来場者を得て、賑わいと活力あふれる祭りとして大変に盛り上がりました。多くの関係者の皆様に、改めて厚くお礼申し上げます。

    夏まつりは、来年、40回を迎えます。それに向けて、市民、団体、事業者の皆様と手を携え、羽村市に賑わいと活力を創出するとともに、市民の皆様が郷土、羽村への愛着や誇りを育めるよう、40回の節目に相応しいイベントとして準備を進めてまいりたいと考えております。

    次に、福島の復興支援について申し上げます。

    復興庁の8月のデータによりますと、東日本大震災による福島第一原子力発電所の事故から3年が経過した今もなお、県外へ4万7千人を超える方々が避難され、官民一体となった除染作業にも拘らず、郷里に帰る道筋が見えない状況となっております。

    このような状況下において、市内を中心に活動する「NPO法人にこにこプロジェクト」では、福島の子ども達に夏休みを利用して、青空の下で元気に過ごしてもらおうと、羽村市の自然休暇村や動物公園などを活用したツアーを企画され、

    また、「福島の子ども疎開保養プロジェクト」においても、羽村市の自然休暇村を活用したツアーが組まれました。

    福島の親子の皆様が、避難生活を余儀なくされている現状が報道されている中、羽村市として、ごく自然な形で支援していきたいとの思いから、姉妹都市の北杜市とも連携し、2つの団体が個別に行う事業を、市として後援させていただきました。

    また、市内の「羽村市福島県人会」においては、これまでも市が行う「福島復興応援キャンペーン」として、花と水のまつり、夏まつり、産業祭などのイベントの機会を捉えて、献身的な活動を続けられておられますが、この度、羽村に避難されている福島の方々を招待し、親睦事業を企画されましたので、市として後援をさせていただくことといたしました。

    市では、多様な市民活動団体が主体的に行う公益事業を後方から支援することにより、地域に根付く、広がりのある市民自治のまちづくりを推進するとともに、避難者の皆様の心の支えとなり、避難生活の負担軽減の一助になれば幸いであると考えており、被災地が一刻も早く復興するよう、引き続き、支援してまいります。

    以上、所信の一端と市政運営の状況について申し述べましたが、羽村市を取り巻く社会経済情勢は、依然として厳しいものがあります。

    私は、羽村の人々に脈々と受け継がれる「進取の気性」に改めて学び、羽村の現状を前向きに捉え、第五次羽村市長期総合計画に掲げた子育て支援、生涯学習、福祉健康、都市基盤整備、産業振興などの各施策のバランスの取れた展開を通じ、基本構想に掲げる羽村市の将来像「ひとが輝き みんなでつくる 安心と活力の街 はむら」を実現していくため、渾身の力を注ぎ、市民の皆様の負託に応えていく覚悟であります。

    ここに、改めて、市政運営に対し、議員各位並びに市民の皆様のご理解とご協力を心からお願い申し上げます。

    なお、今次定例会には、決算認定案件7件、条例案件5件、補正予算案件6件、剰余金処分案件1件、人事案件1件、訴えの提起案件2件、合わせて22件の議案をご提案申し上げております。

    よろしくご審議を賜りますようお願い申し上げます。

    以上で、私の発言を終わります。

    ありがとうございました。

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