市役所4階特別会議室
並木心、井上雅彦、桜沢修、塩田真紀子、髙崎光(代理:生活安全課長)、坂口昇平、
愛甲慎二、宮澤正弘、山下忠義、折原伸司、葛尾豊、井口タヱ子、柑子木裕美、平辰男、
井上肇彦
オブザーバー
小林秀治、伊藤文隆、仙北谷仁策、粕谷昇司、野村由紀子、小机良博、山本明子
長嶋浩一、石塚健市、海東朝美、中野修
(1)テーマ:「発達が気になる子どもへの支援」について
・杏林大学 保健学部特任教授 張替 克美 氏
・羽村市における発達支援体制
羽村市子ども家庭部子育て相談課 山本課長
・学校現場等における発達支援体制
羽村市教育委員会生涯学習部 仙北谷参事
質疑・意見交換
(2)羽村市における青少年の現状等について
発言者
①教育委員会 生涯学習部参事
②小・中学校長会 羽村第一中学校 校長
③都立羽村特別支援学校 校長
④福生警察署 署長 代理:生活安全課長
⑤西多摩地区保護司会羽村分区 分区長
⑥青少年育成委員会 会長
⑦青少年対策地区員会連絡協議会 松林地区会長
質疑・応答
(3)その他
発達が気になる子どもへの支援について
パワーポイント資料
気になる行動のある幼児児童が教室等で見せる行動及び面接等での情報の取り方
学校現場等における発達支援体制
子育て世代包括支援センター「羽っぴー」・子どもの発達に関する総合相談窓口リーフレット
会議内容
1 会長あいさつ
本日は大変お忙しい中、羽村市青少年問題協議会にご出席くださいまして、誠にありがとうございます。
日経BP総研という自治体における子育て総合ランキングにおいて羽村市が第2位にランクインしました。いろいろな視点によるリサーチがなされた結果、子育て施策の一定の評価が得られたということで、子育てしやすい輝く羽村市を目指してこれからも努力していきたいと思います。
本日ご出席の皆さまは、それぞれいろいろな立場で、各団体や関係機関に所属しておられ、青少年健全育成の第一線でご活躍されている皆さまであります。活発なご意見をいただき、この会議が実りの多いものになりますことをお願い申し上げます。
2 議題
(1)テーマ:「発達が気になる子どもへの支援」について
・杏林大学 保健学部特任教授 張替 克美 氏
(講師)
3月21日は、国連で「世界ダウン症の日」に制定されていますので、ご存じない方はぜひ覚えていただければと思います。
さて、平成19年4月から学校教育法の一部改正に伴い、特別支援学校、特別支援学級のもとに特別支援教育が本格的に始動しました。全国調査の結果を見てみると、以前は診断名を当てはめるような捉え方が主流でしたが、近年では、子どもの様子に対する現場の先生の感じ方が変化してきており、より具体的な実態の把握ができてきています。
社会全体で子どもの数が減っている中で、特別支援を必要とする対象者は増えています。それも、先生たちの感じ方がよりきめ細かくなったことが要因の一つです。子どもが小さい頃から先生たち大人がよく観察しています。先生が自宅に訪問して教えるたり、専門家の指導助言を受けて支援したりするなど、いろいろな学びの場が用意されてきています。
発達が気になる子どもに対しては、あらかじめ受け入れる姿勢や専門知識が必要です。
子どもへの支援だけではなく、その保護者への支援も重要です。保護者の気持ちの中には受容の段階がありますので、例えば、保護者と面談をする際に、タイミングを誤って不適切な対応をしてしまうと保護者との関係性が崩れてしまう危険性があります。注意が必要です。タイミングを見極めながら慎重にアドバイスをしていくことが大切です。
虐待については、「子どもの考え方を尊重せず、認めない」「家庭内暴力など親同士のトラブルを子どもの前で行う」「子どもに手を掛けず、ほっといてしまう」などさまざまなパターンがあります。虐待を受けた子どもに対して児童相談所としては、「発達障害」なのか「虐待」なのかによって指導を組み立てています。
・羽村市における発達支援体制
羽村市子ども家庭部子育て相談課 山本課長
(オブザーバー)
羽村市では、児童福祉法の改正に伴い、平成29年の6月に子育て世代包括支援センター「羽っぴー」をスタートさせました。妊娠期から子育て期までさまざまなニーズに合わせて切れ目のない相談支援を目的に展開しています。
妊娠期から専門の保健師2名がしっかり面接をし相談の対応等を行っています。また、同じ部署に子どもの発達障害を担当する主査と臨床心理士を配置しており、総合相談窓口として、特に支援充実が必要な就学前の子どもを対象に発達支援の強化を図っています。
妊娠期からしっかり保健師が関わり、子育て相談を受け、就園した幼稚園・保育園と連携し、子どもの発達を見守る体制づくりに取り組んでいます。具体的には市内の幼稚園・保育園23園で巡回相談を開始しました。その他、発達障害の正しい理解の促進を図るための研修会や市民を対象とした講演会などの啓発活動にも取り組んでいきます。また、横断的な組織の連携ということで庁内の福祉健康部門と児童福祉部門、教育部門によるプロジェクトチームを結成し、課題や取組みについて情報共有、取り組むべき課題について検討を重ね、施策に反映するための体制もつくっています。
・学校現場等における発達支援体制
羽村市教育委員会生涯学習部 仙北谷参事
(オブザーバー)
東京都では平成16年ごろから新たな特別支援教育に向けた準備をしていました。
特別支援教育の推進はコーディネーターの育成を含めて容易なことではありません。そのため、羽村市では各校に2~3名コーディネーターを配置し、異動が生じる時にも円滑に対応できるように体制をつくっています。
教職員等による支援、配慮については、担任や学年主任、コーディネーター、管理職が連携して個別指導計画に沿って、その子の特徴にあった支援・教育を進めています。医療や福祉などの関係機関との連携に基づく個別の教育支援計画も進めています。
日々子どもにどう関わるかも重要です。発達障害がある子どもに対しては、2つ3つを一遍に伝えてしまうと伝わりづらいため、例えば視覚をうまく使って対応することが有効です。その子の得意不得意な部分を他の子どもや保護者にも理解してもらうことも大切だと考えています。
教育委員会による支援として「はばたき教室」では、従来の子どもが動く通級指導ではなく、教職員が動く特別支援教室として指導を行っています。中学校では、平成31年度から特別支援教室に変えるため、平成30年度はその準備をしていきます。また、若い教職員は、大学のカリキュラムの中で特別支援教育が必須になっていますが、比較的年齢が高い教職員の時代は盛り込まれていなかったため、十分な知識がない教職員もいます。そのため、研修等を行って全体の底上げができればと考えています。お互いの学校のいい実践を共有するという取組みも行っています。
これまでの羽村市の教育を活かし、子どもたちのニーズに合った適切な教育を進めていきたいと思っています。
質疑・意見交換
(委員)
発達障害とはどのような障害のことでしょうか。
(講師)
発達障害は人によって症状が多種多様です。例えば自閉的な症状については一般的には機能的な障害と言われています。
昔、富裕層しか病院を利用できなかった時代に、そういう人たちはお金は持っているが親の愛情を与えていないという風潮がありました。しかし、医療が進歩してくると脳に何らかの障害があるということがわかってきました。従って、乳幼児期の子育ての問題とは関係ないと思います。
(委員)
少子高齢の流れの中で、特別支援が必要な子どもが増えている背景には、晩婚化や高齢出産等が影響しているのでしょうか。
(講師)
晩婚化・高齢出産との因果関係はわかりませんが、医療レベルの進歩により生存率が向上していることや昔に比べ専門的な病院が増え特別支援が必要と判断される子どもの数が増えているということは言えると思います。
(委員)
発達障害の子どもに対して地域社会でどう受け入れるかが重要だと思いますが、何かアドバイスはありますか。
(講師)
事例の一つとして、さいたま市では、特別支援学校や特別支援学級に在籍中から、障害の種別ごとにグループをつくって、将来どうするか、どう地域で生活するか等を考える場をつくっています。過去に障害者施設が敬遠されていた時代もありましたが、ボランティアを募って、障害者を見たことがない子どもたちが障害者と関わる機会を設ける場をつくる取組みもあります。地域の方の正しい理解が必要です。
発達障害のある子どもの就職活動を支援した経験があります。例えば自閉的な方は、こだわりが強いため得意分野に対してはほとんどミスをしません。それを活かし、就職ができたケースもあります。
(委員)
発達障害のある子どもの特徴や実態を把握して対応することの重要性がわかりました。
(委員)
特別支援学校の卒業生の受け入れ先での成功例をいくつかあげますと、例えばあるデパート関係では、学校と会社とで工程分析を重ねてみると、売り子さんたちが接客以外にとても多くの業務を抱えていることがわかりました。そうした分析結果から売り子さんたちに接客へ専念してもらうために、卒業生に梱包作業等をまかせてもらい会社の効率アップへつながったケースがあります。また、ある電気会社では、電気の専門業務以外の顧客情報の入力作業や名刺の作成等の業務を、自閉症の重い方に任せているケースもあります。
このように、他の社員がより製品開発などの仕事に集中できるようにするために、工程分析をして業務を分担したり特例子会社を設立したりして、障害者の就労の機会を広げている会社が増えてきています。
(講師)
本日は先生たちの気づきの感度をあげるための取組みや子どもが小さい頃から支援する体制等について知り、羽村市の施策がすばらしいものだということがわかりました。合理的配慮も意識しながらこれからもさまざまな取組みを進めていってほしいと思います。
(2)羽村市における青少年の現状等について
発言者
①教育委員会 生涯学習部参事
文部科学省における問題行動調査によりますと、平成28年度、いじめの認知件数は、中学校21件、小学校34件でした。解消数については、小学校は34件すべて、中学校は16件で、残りの5件については解消に向けて現在取り組んでいる最中です。
不登校の子どもが羽村市の子どもの中でどのくらいの割合を占めているかを表した出現率は、小学校0.27%、中学校3.97%です。不登校についてはさまざまな原因がありますが、その都度スクールカウンセラーやソーシャルワーカー、学年主任等が連携してサポートや未然防止策の検討をしています。
今後は万引きにも視野を広げていきたいと考えています。
②小・中学校長会 羽村第一中学校 校長
万引きの低年齢化が進んでいます。万引きをしてしまった子には「友達とやった」「みつからないから繰り返しやった」という理由があるようです。
それから家庭内のトラブルが原因で家出をしたケースやSNSのトラブルも増加しています。SNSについては仲間外れや誹謗中傷などのトラブルが多いです。
家庭環境の変化や保護者が外国籍であるがために学校環境になじめなくて不登校になるケースもあります。
不審者は学期はじめに多いようです。
SNSの問題についてはとても苦慮しています。学校ではスマホを禁止していて、本来SNSのトラブルは保護者の責任で解決してほしいのですが、学校に持ち込まれるケースが多いです。
発達支援に対して学校は厳しい立場です。発達障害のある子どもが通常の学級で一緒に過ごすのは難しい面もあります。対応についてのノウハウは学んでいますが、一旦感情が崩れてしまうと落ち着かせるのに時間がかかります。薬の服用については、無気力になってしまうなどの副作用から病院でもあまり奨めない傾向にあるようです。
③都立羽村特別支援学校 校長
事例の一つとして、発達障害の生徒ですがトラブルになったことがありました。その生徒とは連絡がなかなか取れず、学校との電話での約束を守れないことがありました。しかし、LINEで連絡を取ったところ約束事が守れるようになりました。音声による短期記憶が苦手だったと予想されます。しかし、日常会話は問題なく見えるので、家庭では気づかれにくいのが特徴です。本人の特性を理解した適切な対応が、問題を解決する手立てとなるという事例として、紹介させていただきました。
先日行われた本校高等部の卒業式では、63名が卒業し、そのうち23名が就労できました。卒業式では生徒が大きな声を出してすばらしい発表をしてくれました。発達障害のある子どもは素直な性格なので、適切な環境でほめてあげると伸びていきます。逆に周りの不適切な環境に左右されやすいという特徴があるので、理解を深めていただき社会全体で受け入れていただきたいと思います。
④福生警察署 署長 代理:生活安全課長
平成29年中の少年事件は3市1町で159件の事件を認知しています。このうち14歳以下が関わる触法という事件が46件で、少年事件全部は、対前年比で約52件減っています。羽村市内では48件のうち触法が15件発生しています。すべて万引きです。うち全体の犯罪件数も減少傾向にありますが、振り込め詐欺は増えています。少年が小遣い稼ぎ等安易な理由で加担させないように学校教育と連携していくなどして取り組んでいきたいと考えています。
また、補導は3市1町で343件あり、対前年比は約200件減っています。羽村市は115件で対前年比は58件減っています。しかし、ネット犯罪は増加傾向です。平成30年2月に東京都青少年育成条例が改正されたことを受け、自撮り被害防止を強化していく取組みを進めています。
児童虐待は、都内で5,500件で対前年比は1,000件増えています。福生警察署管内でも103件で対前年比は59件増えています。特に心理的虐待が増えており、DVを子どもが毎日目の前で見ているような事例が急増傾向にあります。児童虐待はなかなか外部から発見することが難しいですが、子どもの命を守るために子ども家庭支援センターと連携、情報共有していきたいと考えています。
⑤西多摩地区保護司会羽村分区 分区長
刑法犯は全国的に見て数年前から比べると減ってきており、保護司会での保護観察対象者の数も減っています。しかし、再犯率は高いのが現状です。再犯防止計画推進法が閣議決定されましたが、平成30年度から本格始動になると思いますので、その際はご協力をお願いします。
⑥青少年育成委員会 会長
育成委員会は、主に市内のパトロールを行っています。福生警察署の方と一緒に店舗に出向いて、不健全図書の陳列状況やゲームセンター内の状況等をパトロールしています。店舗の中には成人向けの図書が子ども向けの本棚の横に置かれているところもありますので、そういう店舗には指摘をしますが、繰り返し訪問しているうちに改善されてきました。福生警察署の方からは、育成委員会の方と一緒に訪問しているからこそ、よい方向に改善されていると評価をいただいています。
⑦青少年対策地区員会連絡協議会 松林地区会長
少年少女球技大会は、歴史のある事業です。ソフトボールは子どもだけでなくシニア世代の間でも活発なスポーツとして羽村市に浸透していますし、キックボールは他の自治体にはほとんどないスポーツであり、羽村独自のスポーツとして根付いています。年々チーム数が減っていることから今後ともご協力いただきたいと思っています。
平成29年度に青少年対策地区委員会連絡協議会の活動が認められて、東京都から表彰を受けました。また、毎年11月に行われる子どもフェスティバルが東京都のモデル事業として指定され、先日の研修発表会では活動内容を発表してきました。今後とも事業へのご協力をよろしくお願いします。
連絡協議会の事業以外には各地区でさまざまな行事を行っていますので、そちらもご理解いただきたいと思います。
質疑・応答
(3)その他
(委員)
不登校児童に対して最も大事なのは家庭教育だと思いますが、学校現場で大事なのは、子どものサインを敏感に感じることだと思います。学校現場においては、スクールカウンセラーや養護教諭などと連携して、子どもを「育てる」ことに力を注いでいただきたいと思っています。場合によっては医療機関や児童相談所、行政などと連携して取り組んでいく必要があると思います。子どもの心に寄り添っていただく配慮をお願いしたいと思います。
学校現場では、不登校の原因分析をどう行っているか、子どものサインに気付くためにどのような取組みをしているかを教えてください。
(オブザーバー)
不登校については詳細に分析をしています。小学校では学校にいくことに不安を覚える、中学校では人間関係や非行、無気力が原因としてあります。授業の内容を工夫したり、豊かな体験活動を学校生活を通じて積極的に体験してもらう取組みも行っています。こういった楽しいことを体験することも不登校などの問題に有効だととらえています。
子どもたちのSOSに気付くための取組みとしては、いじめに関するアンケートを毎月行っています。スクールカウンセラーは全校に1名ずついます。小学校は5年生、中学校は1年生の時に必ず全員面接を行っています。スクールカウンセラーに相談しやすくするというねらいもあります。教職員に対する研修会にも力を入れています。子どものわずかな変化も見逃さないように学校現場は取り組んでいます。
(委員)
子どもたちは養護教員に集まっている状況のようです。小学生にはハグをして、中学生には「心のハグ」をしてほしいと思います。
(委員)
月2回休んだ子どもはピックアップしています。30日以上休んだ子どもに対しては、個別指導計画に沿って対応をし、教育委員会に報告しています。
不登校の中にはひきこもりなどいろいろなパターンがあります。完全にひきこもりになっている子どもはあまりいませんが、100日以上休んでいる子どもやハーモニーに通っている子どもが数名います。
3 閉会あいさつ
(副会長)
子どもが不登校になったときの保護者のショックはかなり大きいものがあるようです。保護者への対応も大切だということがわかりました。発達障害についてもいろいろな症状があります。周りの人間が発達障害に対する正しい知識を持つことが本人を理解することにつながると思いました。