日時 令和2年1月20日(月曜日)午後7時00分~午後9時5分
場所 羽村市役所3階庁議室
出席者
【委員】松本祐一、小林貴純、佐藤元信、渡邉智美、山本哲也(5人)
【事務局】企画政策課長、企画政策課主幹、企画政策担当主査
欠席者
三浦恵利子
傍聴人 1人
議題
配布資料
1.あいさつ
(松本会長)
今回は、前年度の取組みの評価と、計画の今後の方向性が議題となっている。大きな視点に立っていただき、市政全体を踏まえた上でのご意見をいただければと考えている。
2.議事
(1)羽村市まち・ひと・しごと創生計画の進捗状況及び評価について
(事務局)
まち・ひと・しごと創生計画については、令和元年度が計画の最終年度となっており、市でも今後の計画の方向性を庁内で議論しているところである。
国においては、第2期のまち・ひと・しごと総合戦略が閣議決定され、5年間の計画期間で、来年度からスタートする。国からは、それぞれの基礎自治体に対して、まち・ひと・しごと創生法に基づく地方版総合戦略の策定が求められているが、国のQ&Aでは、市の長期総合計画と足並みをそろえる形で期間を延長することや、長期総合計画と一体のものとして計画を策定することは差し支えないとされている。
現行の市の長期総合計画は、令和3年度までの計画期間となっており、来年度、再来年度の2か年をかけて次期計画の策定作業を進めていくこととしており、将来の羽村市のまちづくりを展望していくため、人口推計等を行うことを想定している。市では、こうした状況を踏まえ、創生計画についても期間を延長して、総合計画の策定と合わせて検討していく方向で考えており、その点を踏まえた上で、ご意見をいただければと考える。
→資料1「羽村市まち・ひと・しごと創生計画の進捗状況及び評価について」、当日机上配布資料「羽村市まち・ひと・しごと創生計画の総括」に沿って事務局より説明
(松本会長)
当日配布資料について、プロジェクト1は、目標指標もKPIも達成していない。これは、計画されたものができておらず、人口等にも成果が表れていないという結果である。プロジェクト2は、事業の実施はしているが、子どもの数に反映されていない結果である。プロジェクト3もやるべきことが実施できておらず、創業や事業者数に反映できていない状態である。プロジェクト4はやるべきことは実施できており、魅力度や認知度も上向いているという結果である。その上で、結果を見ながら質問、意見をいただければと思う。
(佐藤委員)
プロジェクト1の滞在人口の伸び率は、どのように人数をカウントしているのか。
(事務局)
携帯電話会社の位置情報を国が取得し、RESASに反映しているものである。
(佐藤委員)
従業員数とイコールになるものではないということで理解した。
(小林副会長)
サイクリングステーションの整備は、市が実施しようとしているということで良いか。観光協会でレンタサイクルを実施しているが、それも含まれているのか。
(事務局)
市が設置するものとして検討を進めている。観光協会で実施するレンタサイクルは含まれていない。
(小林副会長)
同じようなことを実施しているのであれば、羽村市観光協会と一緒に実施したり、その場所を整備したりしたほうが早いのではないか。
(事務局)
まち・ひと・しごと創生計画や、産業振興計画では、羽村堰を中心に多くのサイクリストが訪れている現状を踏まえ、交流人口の増加や経済効果につなげていくため、サイクリストの集まる拠点を整備できないかという検討を進めてきたが、厳しい財政状況を踏まえつつ、設置コンセプトの具現化に至っていない現状がある。また、産業福祉センター、観光案内所なども点在しており、市内の産業関連の公共施設全体の構想を含め、一体的に検討してきた経過がある。
先日、青梅・奥多摩では個店と協力し、サイクリストを取り込んでいくという記事があったが、市でも民間事業者の活用を検討しており、市で用意をして展開をしていくのか、観光案内所を活用しながらやっていくのかなど、さまざまな方法があるため、担当部署とも検討を進めていきたい。
(松本会長)
「サイクリングステーションの整備」、「カフェコーナーの設置」「羽村deいい家助成制度」については、検討が続いたまま5年間が過ぎていった。ハード、補助や助成関係の事業が検討はされていても、実現されていない現状があるが、財政上の問題が影響しているか。
(事務局)
事業によるが、財政状況だけでなく、特定財源等の活用を見据えた形でどのように制度設計し、事業構築をしていくかを含め課題として捉えている。
補助事業については、羽村市は補助費の割合が高く、補助金の支出の仕方として慎重になっている現状があり、羽村deいい家助成制度については、効果がどのように得られるのかを慎重に検証している。他自治体の事例を調査し、制度設計を進めているが、成果の部分の具体的な見込みが足りておらず、検討の結論がなかなか出ていない事業が多くある現状である。
(渡邉委員)
保育園の保護者のなかで、羽村市は土地が高いので、近隣の市に家を買って引っ越す方たちがいた。羽村市は家の価格が高いという理由のみで引っ越してしまう。羽村市で子育てしたいと思ってもらえる何かが足りなかったのか。子育てするには羽村が良いということを分かりやすく伝えられると良い。
(山本委員)
羽村は土地が高いのか。
(事務局)
一般的に近隣市より価格が高いと言われている。住む場所を選ぶ際に近隣の自治体に流れてしまっている現状は、庁内でも課題として捉えているところであり、シティプロモーションを推進する中で、市内の不動産業者と連携し、住宅購入の相談の際に羽村市での子育てしやすさを伝えてもらうようにし、羽村を選んでもらえるような取組みを進めている。
(松本会長)
プロジェクト4では、知名度・魅力度ともに上がっている。プロジェクト2は、妊娠・出産・子育て包括支援拠点を設置し、子育てを支援する体制を整えてきたが、なかなか結果が出ない状況である。そのギャップはどこから生まれてくるのか。事業量が足りないのか、結果が出るまで時間がかかるのか、または他のプロジェクトの取組みが必要なのかなど、財政状況が厳しいなかで、創生計画の4つのプロジェクトがどう絡んで、どうすれば今の状況を解決でき、どうすれば構造を変えられるのか非常に難しいところである。1つの事業をやれば、定住人口の増加につながるということではない。
(小林副会長)
羽村deいい家助成制度を整備しないと、定住人口の増加はないと思う。この計画のなかでも重要なところであり、検討で終わらせてしまっているが、定住は市税収入への影響もある。まずは、この制度の整備から始めないと、これまでと同様に転入転出を繰り返すこととなる。羽村は土地が高いが、こうした補助があることで、住宅購入の経費が少し安くなる印象を与えることが大切ではないか。
(佐藤委員)
日本経済新聞の共働き子育てしやすい街2019で羽村市は全国で20番目だった。これは、大々的にPRすることが必要ではないか。現状、指標では達成できていないものはあるが、例えば待機児童数は、23区と比べると非常に少ない数字である。子育ての魅力は高いということをPRしていくのが大事ではないか。
(渡邉委員)
令和元年10月に保育無償化が始まったが、3歳以上の児童の副食費は保護者負担があり、羽村市ではひと月4,500円となっている。23区では、副食費も区が負担し、保護者負担はない。近隣の市では、副食費も保護者負担をなくしていく流れがあると聞いており、何かを比べたときに、その部分が比較材料となり、費用負担がない自治体を選んでしまう可能性がある。
(小林副会長)
副食費の負担をなしとした場合、待機児童への影響はあると予想するか。
(渡邉委員)
現状、周辺では、副食費の負担をなくした自治体はないので、市の保育園を選ぶ人が増え、待機児童が増える見込みはある。
(小林副会長)
現在の待機児童の状況はどのようになっているか。
(事務局)
市内の保育園は4月に定員が全て埋まってしまうため、4月以降の入園希望者は必然的に待機児童となり、4月と比べると待機児童数が増えている現状がある。担当課で、保育園等の空き状況は把握している。
(松本会長)
転居希望の方からすると、待機児童数や、副食費などは比較する要素である。そのようなことも意識しておく必要がある。
(山本委員)
多少成功している部分の宣伝に力を入れることが必要である。今年、市の魅力度が平成30年度の964位から766位と順位を上げている。市として分析しているか。要因が分かれば、成功体験としてPRすることができるのではないか。
(事務局)
民間の機関が実施している地域ブランド調査の結果であり、対象者が毎年異なり、回答者が羽村市を知った要因や魅力と感じた要因を捉えることは難しい。関東地方の方からの認知度は高く、その他の地域の方は、羽村市から遠くなればなるほど下がっていく。
市でも、ターゲット地域を絞りシティプロモーションを進めてきており、公式PRサイトなどを含め、関東近県を中心に羽村市を知っていただき、魅力を感じていただく機会を作り続けてきたことが、このような結果につながってきているのではと捉えている。
(山本委員)
個人的には市役所にカフェがあるとよい。iサロンは良い設備であるが、人があまり多くないので、使いにくい部分がある。クラウドファンディングや市内事業者の協力を受け、期間限定のカフェをオープンするなど、市の持ち出しが少ない形での検討を進めることが必要である。青梅・奥多摩のサイクリングの関係なども民間の人が主体的に動いているのではないか。
(松本会長)
現行計画のなかで、検討状態のものは市が主体的に実施をしていこうとするものである。創生計画の枠組として取り組んできた経過があり、社会的な情勢の変化を含め、どうしていけばよいかを考えていかなければならない。次どうしていくのかという部分が大切である。
(2)羽村市まち・ひと・しごと創生計画の方向性について
⇒資料2「「羽村市まち・ひと・しごと創生計画」・「国立社会保障人口問題研究所」との人口推計の乖離」、資料3「羽村市まち・ひと・しごと創生計画の方向性について」に沿って事務局より説明
(松本会長)
計画の延伸、目標指標及び事業の見直しについてご意見をいただきたい。
(佐藤委員)
プロジェクトの延伸は実施していくべきである。細かな見直し、思い切った改正も必要であると考えている。民間企業でも、達成しない計画の目標は修正しながら進めてきている。マイナス思考でなく、プラス思考で前向きに修正していくことが必要であり、人口減少の克服に向けた検討を進めていただきたい。
(小林副会長)
実施できていない事業は、いつまで考えていても進まないので、代替案があれば修正していくことも必要と考える。計画を立てる前に、予算の積算を行った上で事業を構築していくべきである。予算があればすぐにできる事業も多くあるのではないか。予算規模に応じて、実施する事業を分別していかないといけない。
(松本会長)
民間企業では、計画に位置付けて5年間事業化されないことはない。
(渡邉委員)
計画を立てたらその計画に向けた何かしらのアクションは起こすものであり、5年間、実施できない状況が続くことは望ましいものではない。自分自身はこの会議に参加し大変勉強になるが、計画事業ができない理由を考えているのかどうか。
(山本委員)
人口推計の部分を今後現実的に実施していくことは良いことであるが、他の自治体においてもこれまでの長期総合計画等では、人口だけは絵に描いた餅のような数値が使われており、現実的な計画に繋がっていなかった。人口が激増することは今後なく、リアルな数字で計画を立てていかないと、現実的な計画にはつながらないのではないか。また、ニプロ株式会社の進出による人口への影響は見定めていく必要がある。
(松本会長)
現行の創生計画の人口推計と比べると、計画より早く人口減少が進んでおり、財政面でもより厳しくなることを想定しないと現実的な対応はできず、さらに絵に描いた餅になってしまう。そのような危機感を、市役所、議会、市民が持たないといけない。
まずはこの計画を延伸し、長期総合計画につなげていくことは賛成であり、その上で、やらないもの、残していくものなど、取捨選択が必要になる。これまでは、計画の枠組みのなかで議論してきたが、枠組み自体も大胆に変えていく必要がある。
3.意見交換
(1)羽村市の地方創生について
(松本会長)
これまでの議論でもわかるとおり、事業を絞らないといけない。例えば、学校がレベルを上げようとするときには、まず少ない人数でも優秀な子を集め、特徴のある教育をし、進学実績を作り、そのことをPRしていくやり方を実施する。特徴のあるプロジェクトに、徹底的にお金を掛けて、PRを実施しているのだが、これはまちづくりでも一緒である。
子育てしやすいまちを推している自治体はほかにもあるが、今回、シティプロモーションの部分で結果が出ているのは、シティプロモーション推進課という専門部署を設置し、集中的に取り組んできたことが要因と考えられる。総花的に事業を挙げても、全て慎重になってしまい、事業が進まない現状があり、事業を打っていくことよりも絞って検討していくことが必要と考える。
(小林副会長)
人が来るその導線にカフェスペースがあると良い。市役所庁舎であれば、日々人が来るので、カフェスペースとして民間企業に出店していただき、また、情報スペースとして活用していくことで、子育てしやすいまちなどの情報提供もできるのではないか。
また、シティプロモーションについて、「未完成映画予告編大賞」という、市を題材とした3分以内の映画の予告編映像を作る取組みがあり、大賞をとると賞金のほか、映画の本編も作ることができる。新しい映画のクリエーター発掘のために実施しているものであるが、一緒にまちおこしもしようというコンセプトを含んでいる。市としても、そのような映画を撮る人の募集に協力したらどうか。大賞をとると、映画館で上映される。シティプロモーションの一環で検討しても面白い。
(松本会長)
カフェについては、福祉目的だけではなく、おしゃれさもないと事業効果は得られない時代になっているかもしれない。
(佐藤委員)
西武信用金庫も規制を突破して、荻窪西口支店はタリーズを併設している。効果の検証は難しいが、話題性もあって多く発信され、意義はある。
(山本委員)
羽村は、吹奏楽が有名であり、特別クラスという視点では、吹奏楽などを羽村市の特徴的な教育として発信していくことも重要である。
(松本会長)
学力だけでは測れない特徴的な教育がある。
(渡邉委員)
私たちの保育園では、モンテッソーリ教育を取り入れている。子どもの持っている生きる力や個々の特性を、教え込むのではなく、自己選択活動により伸ばす教育を行っている。
かつては、特性がある子も同じクラスの中で、一緒に過ごしていたが、今はクラスを分けて教育している。そうではなく、分け隔てなく特性を伸ばしていく教育を広めていくことについて、私たちの保育園から発信していきたい。
さまざまなカラーを持っている子どもたちが過ごしやすく育っていくため、自己選択活動による教育を発信し、他の教育と差を出すことにより、羽村市の教育はおもしろいと言ってもらえる日が来ると良い。
(松本会長)
自己選択ができる教育に、まちの人や企業・学校が協力するようになると、羽村市の教育として特徴的なものとなるだろう。
羽村市は、製造業の集積があるが産業面の支援はどうか。予算を使うプロジェクトはあるが、収入が増える支援も大事な視点である。企業がお金を生み出すための支援に投資をしていくべきである。
(小林副会長)
市外の方が羽村市に引っ越したい要件としては何があるか。人口を増やすためには、他市から移り住んでもらうことが必要であり、今自分の住んでいるまちから、どのような理由があれば羽村に来るか。
(山本委員)
川のそばで犬を飼える場所を希望する。
(佐藤委員)
現在自分が住んでいる市に愛着がある。子どもがそこで生まれて根を張ってしまった。その根を張る瞬間が非常に重要であり、私には、補助金などは問題ではなく、人とのつながりやコミュニティがしっかりしていることなどが大切である。また、子どもが生まれ、横のつながりができると、移動しにくくなる。
(小林副会長)
それであれば、結婚したばかりの方やこれから結婚する人などに対する支援に力を入れていくことが必要ではないか。
(松本会長)
タイミングが重要である。住む環境や広い庭がある、子どもの教育など、条件面でよい場所を住む場所として選ぶだろう。前提として良い環境のところに、タイミングとしてお金の面での良い支援があるとなお良いだろう。
(小林副会長)
羽村への定住を促すための前評判を発信していくことに取り組んでいく必要がある。例えば、大学4年生に向けて情報発信するなど、ターゲットを絞り、実施していくことが重要である。大学生にとって、結婚へのイメージも沸き、定住先として羽村市があることを大学生の時からPRしていく。
(山本委員)
都内に通うにしても、電車に座れるなどのメリットは大きい。羽村は清潔であるし、便利であるので、子育て世代へのイメージはインパクトがある。以前実施していた、たまごクラブなどへの広告は、宣伝として非常に良いアイディアである。また、西多摩地域は地震災害に対して地盤がしっかりしているので、そういう部分をPRしていくことも考えられる。
(佐藤委員)
羽村は、インターチェンジも近く、電車も都心まで1時間かからず行けるので、大変魅力的な場所である。
(小林副会長)
杏林大学の学生なども羽村市を知らない人が多い。羽村市に住んでもらえるようにPRすることも非常に有益ではないか。PRをしていけば伝わっていくのではないか。
(松本会長)
これまでの意見について、5つにまとめると、「(1)計画ありきではなく、財政状況などの現実に即したものとして検討していくことが重要である。」、「(2)プラス思考で取捨選択をしていくことが必要である。」、「(3)ストーリーが大切である。子育て中の方が羽村市を選んでいくストーリーを考えることが重要である。」、「(4)定住場所を決定するタイミングが大事である。入り口となるタイミングがいつなのかを考える。」、「(5)自前主義から脱却し、民間事業者とのコラボレーションなどさまざまなきっかけを大切にしてほしい。やりたいのにやれないスピード感に乏しい。」となる。これらのことを踏まえ、検討を進めてほしい。
4.その他
次回は2月28日(金曜日)午後7時~