固定資産税は、毎年1月1日現在に土地、家屋、償却資産(これらを総称して「固定資産」といいます)を所有している方が、その固定資産の所在する市町村に納める税金です。なお、市街化区域内に所在する土地・家屋については合わせて都市計画税も納税していただいています。
固定資産税は、固定資産の価格、すなわち「適正な時価」を課税標準として課税されるものです。本来であれば、毎年度評価替えを行い、その結果を基に課税を行うことが理想的といえますが、膨大な量の土地、家屋について毎年度評価を見直すことは、実務的には事実上不可能であることや、課税事務の簡素化をはかり、徴税コストを抑える必要もあること等から、土地と家屋については原則として3年間価格を据え置く(3年ごとに価格を見直す)制度がとられています。
令和6年度は評価替えの基準年度にあたり、全国で固定資産(土地・家屋)の評価額の見直しが行われました。
土地については、3年間の地価の変動分を反映させた価格となっています。
家屋については、前回評価替え以後の建築物価の変動率を反映させるために「固定資産評価基準」の見直しがされ、これに基づき在来分家屋(令和5年1月1日以前建築分)については価格を見直し、令和5年中の新築・増築された家屋については新たに価格を算定しました。
固定資産の評価は、総務大臣の定める「固定資産評価基準」に基づいて行われます。
固定資産税 = 課税標準額 × 税率(100分の1.40)
都市計画税 = 課税標準額 × 税率(100分の0.25)
固定資産評価基準によって、地目別に定められた評価方法により評価します。
評価は登記簿の地目によるのではなく、その年の1月1日(賦課期日)の現況の地目によります。
土地の価格については、街路ごとに設けられた路線価を各土地の評価額に反映させます。路線価は3年ごとに市内の代表的な土地の不動産鑑定評価を基にし、市町村が定めています。土地の価格の調査基準日(*1)以降の地価動向によっては、簡易な方法により、価格を下落修正する措置が講じられています。
住宅用地については、納税者の税負担を特に軽減する必要性から、その面積により以下のような「課税標準の特例措置」が適用されます。(住宅を取壊したり、用途を住宅以外に変更すると本特例の適用がなくなる場合があります。)
◇ 小規模住宅用地・・・・・住宅1戸あたり200平方メートルまでの住宅用地
→課税標準額は価格の6分の1
◇ 一般住宅用地・・・・・・・住宅1戸あたり200平方メートルを超え、住宅の床面積の10倍を限度とする住宅用地
→課税標準額は価格の3分の1
(*1) 令和6基準年度の土地の価格の調査基準日は令和5年1月1日です。
☆ 課税標準額の計算には、税負担の均衡化を目的とする負担調整措置が設けられており、負担水準の値によっては、税額が前年度より増える場合もあります。
☆ 土地の評価には、その形状や高圧線下、線路近接などの減価要因による補正があります。
固定資産評価基準により、家屋調査等の実地調査に基づいて、再建築価格(*2)を基準に評価します。
3年ごとに行われる評価替えは、家屋の建築後の経過年数などに応じた経年減点補正を行い、評価額を減じます。(構造および建築年次の古い一部の家屋では評価額が減少しないものもあります。)
評価額 = 再建築価格 × 経年減点補正率(*3)
(*2) 評価の対象となった家屋と同一のものを評価の時点において、その場所に新築するものとした場合に必要とされる建築費をいいます。
(*3) 家屋の建築後の年数の経過によって生じる損耗の状況による減価などをあらわしたものです。
☆ 家屋の増築や一部取壊しを行うと、これらの分(床面積)を考慮して再評価を行います。
固定資産税上の家屋とは、不動産登記事務取扱手続準則の定めと同様に、以下の要件を満たしているものが家屋として認定され、課税の対象となります。(未登記の家屋であっても課税の対象となります。)
(1)定着性 | 土地の定着物であること |
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(2)外気分断性 | 屋根および周壁またはこれに類するものを有すること |
(3)用途性 | 目的とする用途に供しうる状態にあること |
償却資産とは、土地および家屋以外の資産で、事業の用に供することができるものをいいます。
資産の種類は、構築物、機械、車両(自動車税の対象を除く)、器具、備品等に分類されます。
毎年賦課期日(1月1日)現在に償却資産を所有している方は、地方税法の規定により1月31日までに資産の所在する市町村長に申告することとされています。なお、償却資産の価格は、土地や家屋と異なり、毎年評価を行います。
評価は固定資産評価基準に基づき、取得価額を基礎として経過年数に応ずる価値の減少(減価)を考慮して行います。固定資産税における償却資産の減価償却方法は、原則として定率法で、評価額の最低限度は取得価額の100分の5とされています。
◇前年中に取得された償却資産の評価額
評価額=取得価額×(1-減価率の2分の1)
◇前年前に取得された償却資産の評価額
評価額=前年度の価格×(1-減価率)
☆ 原則として耐用年数表(財務省令)に掲げられている耐用年数に応じた減価率によります。
☆ リース資産については、貸主に申告義務が課せられています。
☆ 遊休または未稼動の償却資産でも、賦課期日現在事業の用に供しうるものは申告対象となります。
固定資産税は地方税法の規定により、固定資産税は賦課期日(毎年1月1日)に、土地については、土地登記簿または土地補充課税台帳に、家屋については、建物登記簿または家屋補充課税台帳に登録されている所有者に対して課税します。
したがって、売買や相続などで年の途中で固定資産の所有者が変更された場合でも、固定資産税は1月1日現在の所有者に課税されます。
なお、不動産の売買契約が行われる際に、固定資産税の一部を買い主が負担するという契約がなされる場合もあるようですが、これはあくまでもその売買契約に基づくもので、固定資産税の課税・納税義務とは関係ありません。