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あしあと

    そば屋で修業!?探究心が育てるおいしいうどん 「手打ちうどん さかもと」~My startup in はむら②~

    • 初版公開日:[2023年09月21日]
    • ID:17734

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    こちらは令和3年7月に掲載した記事です。店舗について詳しく知りたい方は、最新の情報をご確認ください。

    伊藤 大(市民記者:だいさん)

    店主の坂本さん

    立ち寄った街でふと目にとまった見知らぬお店に入って、なにか新しい発見をしたことはありませんか?
    東京の西方に位置する羽村市。
    ここにも若い創業者がその個性を活かして作りあげたお店がたくさんあります。
    連載企画「My startup in はむら」では、そんな魅力的なお店を切り盛りしている方々に、お話を伺います。

    今回紹介するのは、「手打ちうどん さかもと」を営む坂本明さん。
    実は意外な場所での修業を経てうどん屋さんを始めたのだとか。
    いったい、どんな経緯でうどん屋さんを始めたのでしょうか?

    武蔵野の食文化を継ぐ

    「手打ちうどん さかもと」は羽村市動物公園のほど近く、コンクリート打ちっ放しのおしゃれな建物の一角にあります。店内に入ると、これまたコンクリート打ちっ放しの都会的な雰囲気。一方で、しっかりとした木のテーブルには温かみを感じます。

    店内の写真

    だい(市民記者) さかもとのうどんは武蔵野の地で育まれたうどん文化を受け継いだもので、一番人気は「肉汁うどん」とのことですが、そのほかのおすすめは何でしょうか?

    坂本さん ぜひ、自慢のだしを一番感じられる「きざみうどん」を味わっていただきたいですね。蕎麦屋で9年修業していたのですが、そこで身につけた「だし」の技術には自信があるんです 。

    肉汁うどん

    きざみうどん

    うどん屋さんの修業先がお蕎麦屋さん!?意外すぎるこの経歴には、数々の困難を乗り越えていった坂本さんのストーリーが隠されていたのでした。

    職人に憧れて

    だい お蕎麦屋さんに弟子入りしたきっかけを教えていただけますか?

    坂本さん 大学の時に仲良くしてもらっていた年上の方が、蕎麦屋につれていってくれたんですよ。そこで、昼間っからお酒を飲んで、蕎麦をさっと食べて。その時はそれがかっこよく見えたんですよね。それで、そんなお店をやっている蕎麦職人もかっこいいなぁって。

    だい 職人さんに憧れたんですね。

    坂本さん そうなんです。それから、蕎麦屋をいろいろ回って「ここだ!」ってお店を見つけて、そこに弟子入りしたんです。

    だい 修業は大変でしたか?

    坂本さん そうですね。厳しい親方だったので(笑)。でも、家族みたいに面倒を見てもらって、フランス料理の勉強のために親方と一緒にフランスに行ったこともあるんですよ。

    だい お蕎麦とフランス料理ですか。これまた意外な組み合わせですね。

    坂本さん 親方はとにかく食への探究心が強い方なので、フランス料理にもものすごく関心があったんです。

    逆境の中で

    だい そのお蕎麦屋さんでの修業を終えて、開業したのですか?

    坂本さん いえ、結婚を機に修業を終えたのですが、その後は父の勧めもあって、蕎麦居酒屋の会社に入社しました。経営についても勉強しろと。結果的に、経理からアルバイト教育、プロモーションまで、その時に身につけたことが今も役立っています。

    だい その時から開業は考えていたんですか?

    坂本さん そうですね。勤めながらお店の物件も探していました。ところがその後、勤めていた会社が倒産しまして。

    だい 次から次へと困難が降りかかってきたんですね。

    坂本さん 本当にそうですね。そのときは、飲食業を諦めて一年間宅配便のドライバーをやっていました。

    背中を押してくれた言葉

    だい 宅配のドライバーも大変なお仕事ですよね。

    坂本さん ペーパードライバーだったので「史上最低の新人」って言われてました(笑)。だけど、一年後にはみんなに認めてもらえるような仕事ができるようになりましたよ。その一年で体重が10キロ落ちて、それを見た妻が「今の仕事をそんなに頑張れるなら、お店をやれば」って言ってくれたんです。

    だい 背中を押してくれたんですね。

    蕎麦からうどん

    坂本さん それで、物件を探して見つけたのが今のお店です。僕の実家のある入間市は武蔵野うどんが有名な土地柄なのですが、その影響もあってか、物件を見ているうちにうどん屋のイメージが沸いてきたんです。

    だい 蕎麦職人を目指していたのに、うどん屋ですか?

    坂本さん 会社勤めのころに子どもが生まれたのですが、蕎麦アレルギーがあることがわかったんです。

    だい 蕎麦アレルギーだと、少量の蕎麦でも危険ですよね。

    坂本さん そうなんです。だから、蕎麦屋は諦めるしかなくなりました。

    店舗外観の写真

    進化し続けるうどん

    だい うどんの経験はあったのですか?

    坂本さん 蕎麦屋での修業時代に、まかないでうどんを打ったことがあるくらいです。

    だい ということは、基本的には独学ですか?

    坂本さん ええ、勉強のために、ある有名なうどん屋に話を伺いに行ったのですが、その時に「蕎麦は職人。うどんは科学。だから、うどんは独学でもできる。」と言われたんです。

    だい 技を受け継がなくても、自分で切り開ける、と。

    坂本さん それで、開業した後も気になるうどん屋に行っては、そこの店主とお話をしたりして勉強を続けています。開業当初から変わっていないのは、ちくわ天のちくわくらいじゃないかな(笑)。

    だい いまは、どんなことにチャレンジしていますか。

    坂本さん 粉の種類や配合の研究は今も続けています。

    だい 「さかもと」は常に進化し続けているんですね。将来、こんなうどんを作ってみたいというものはありますか?

    坂本さん う~ん、そのときの自分の風がどうなっているのか。とにかく、立ち止まらないようにしたいです。

    しなやかさ

    今回、坂本さんのお話をうかがって印象に残ったのが、開業までの困難とそれの乗り越え方でした。僕は、坂本さんの持ち前のしなやかさと状況に対応するために学ぶ姿勢が、坂本さんを困難から救ってきたように感じました。そして、憧れの蕎麦職人にはなれなかったかもしれませんが、蕎麦職人の親方から学んだことを着実に活かしてうどん屋さんを切り盛りする坂本さんは「かっこいい」と感じました。
    変化の激しいこの世の中、坂本さんのような貪欲に学ぶ姿勢というのは、困難を乗り越えるだけでなく、より幸せに過ごすための処方箋の1つなのかもしれませんね。

    INFORMATION

    手打ちうどん さかもと

    きざみうどん

    所在地

    羽村市富士見平1-7-16

    連絡先

    042-554-8800

    営業時間

    昼営業

    平日11時30分から午後3時(ラストオーダー午後2時30分)

    土曜日・祝日11時から午後3時(ラストオーダー午後2時30分)

    夜営業

    木曜日・金曜日・土曜日・祝日 午後5時30分から午後9時(ラストオーダー午後8時30分)

    定休日

    日曜日、ほか不定休あり

    坂本さんの羽村市おすすめポイント

    中華そば ふるいち

    中華そば ふるいちの外観
    中華そば

    所在地

    羽村市五ノ神4-6-9

    連絡先

    042-533-5203

    おすすめの理由

    店主の次から次へとチャレンジしているその姿勢に刺激をいただいています。

    インフォメーション

    だいさんイメージ画像

    伊藤 大(だいさん) 1971年生まれ。ランニングとロードバイクを愛する1児の父。普段会えない人に会いたくて市民記者に応募しました。いつか、スポーツや趣味を通じて市民同士がつながるきっかけとなる記事を書いていけたらと思っています。

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