(令和7年6月11日)
おはようございます。
令和7年・2025年第2回羽村市議会定例会を招集いたしましたところ、議員各位の御出席を賜り、厚く御礼を申し上げます。
定例会の開会にあたり、私の所信の一端と市政運営の状況について申し述べ、議員並びに市民の皆様の御理解と御協力をいただきたいと存じます。
令和7年第1回定例会において、今年度の市政運営に臨む、私の施政の方針について、第六次長期総合計画のコンセプトに沿い、申し述べさせていただきました。
改めて、市民の皆様の負託をいただき、二期目の市政をお預かりするに当たり、私は、市民の皆様と共に作り上げた、第六次長期総合計画に掲げる市の将来像、「まちに広がる笑顔と活気 もっと! 暮らしやすいまち はむら」の実現に向け、これからの4年間、全力で取り組んでいく考えであります。
引き続き、現計画を着実に推進するとともに、今後の市の持続可能な未来を見据え、実効性を持った後期基本計画の策定に着手してまいります。
また、その時々の社会経済情勢の変化に的確に対応するための事業については、さまざまな角度から検討を行い、柔軟に実施してまいります。
今年度は、第六次長期総合計画の4年目に当たり、前期5か年の仕上げの段階に至る年であります。
また、その成果を今後のまちづくりにつなげていくため、後期基本計画の策定作業を本格的に進めていく重要な年でもあります。
こうした状況の下、現下の国際情勢は米国の相互関税政策により、日本も例外とせず、関税を課す方針が示されております。
また、日米安全保障条約の在り方にも不満が示されており、今後の日米両政府の動向に、緊張感をもって注視する必要があります。
こうした動きは、為替相場や国内の株式市場にも大きな変動を与え、輸出企業、特に自動車産業に大きな影響があるものと捉えております。
大手自動車企業では、今期の通期見通しを大幅な減収減益や、業績予想が立たないと公表しています。
市内には、多くの自動車関連事業者が操業しており、影響を懸念するところであります。
市といたしましては、これまで以上に市内事業者の業況把握に努め、必要な支援に取り組むなど、地域経済の維持・活性化と市民生活の安定に努めてまいります。
私はこれまで、市民や市内事業者の皆様のご意見やお考えを行政運営を進める上での礎としてまいりました。
この信念は、今も変わることはありません。
後期基本計画の策定作業は先の見通しの立てにくい社会経済情勢の中において進めていくこととなります。
より多くの市民や事業者の皆様の参画を得て、さまざまなご意見やお考えをお聴きしながら、今後5年間のまちづくりの指針を検討していく考えであります。
意見聴取の取組は本年1月から2月にかけて全8回開催した市長と市民の懇談会に続き、今月から、市政世論調査、市民ワークショップ及び子供・若者を対象にした意見聴取等を実施してまいります。
これらのさまざまな取組により、次代を担う子供から、まちづくりの中心を担う働き盛りの世代、人生の先達である高齢者世代まで、幅広い世代の多くの市民のご意見やお考えを聴き取り、計画に反映することで、実効性を持った計画として策定してまいります。
私はこれまでの4年間、市政運営の根幹である財政の健全化を最優先課題に位置づけ、市長として先頭に立ち、全職員と一丸となって全力で取り組んでまいりました。
この間、歳入確保の観点では、返礼品を用いたふるさと納税の推進、企業版ふるさと納税制度の活用、ネーミングライツの導入やクラウドファンディングの実施、特定財源となる国や東京都の補助金の積極的な獲得などに取り組みました。
その結果、経常収支比率は90パーセント台を堅持できているものの、ポイントは上昇傾向にあり、硬直化が進んでいます。
市の財政状況は、少子高齢化の進展や社会保障費の増大、公共施設の老朽化対策など、多くの課題を抱え、依然として厳しい状況にあります。
引き続き、徹底した行財政改革に取り組むべく、事務事業や公共施設等の点検を実施し、抜本的な見直しにより、経常経費の削減等を着実に推進してまいります。
特に、デジタル・トランスフォーメーションの推進、生成AIなどの新技術の活用による業務効率化を積極的に推進し、行政サービスの質を向上させながらコストの削減に取り組んでまいります。
歳入確保の観点からは、公平で適正な課税の下、効率的かつ効果的な税の徴収を推進し、収納率の向上を図ってまいります。
さらに、新たな財源の獲得を目指し、企業版ふるさと納税や返礼品を用いたふるさと納税、クラウドファンディング、ネーミングライツなどの多様な制度の活用を積極的に推進してまいります。
こうした取組を通じ、将来にわたって持続可能な、強固な財政基盤の構築に取り組んでまいります。
次に、防災対策、防犯対策についてです。
市民の皆様の安全・安心な暮らしを守るため、地域の防災力・防犯力の強化は、重点的に取り組んでいく課題の一つであります。
防災に関しては、近年、全国各地で大規模な自然災害が頻発しており、市民の生命と財産を守るための対策の重要性がますます高まっております。
こうした状況を踏まえ、市では災害時において迅速かつ的確に対応する体制の構築に向け、継続的な取組を推進しております。
毎年、市民や事業者、関係機関との緊密な連携・協力の下、総合防災訓練を実施し、地域の防災力の向上と災害対応能力の強化を図っております。
今年度は、例年実施している訓練とは異なる形として、東京都との合同により、消防、警察、自衛隊などの各種防災関係機関と連携した、より実践的で大規模な総合防災訓練を実施します。
この訓練は、実際の災害発生時により近い状況を想定し、各機関との連携体制の確認と強化を図るとともに、市の災害対応力の向上を目的とするものであります。
8月29日から31日までの3日間、関係機関のヘリコプターの出動による孤立地域対応訓練を始め、物資輸送訓練、救出救助訓練、医療救護活動訓練、及び給水訓練など、災害時に想定されるさまざまな状況に対応した多角的な訓練を計画しております。
この訓練で得られた貴重な成果と課題について、今後の総合防災訓練の充実や地域防災計画の見直しなどに反映させ、市の防災対応力のさらなる強化に生かしてまいります。
今回の訓練には、例年実施している各指定避難所の開設訓練等は含まれておりませんが、可能な範囲で各訓練の見学等を行っていただきたいと思います。
市民の皆様には、より身近な防災訓練として、別途、中学生によるマンホールトイレ設置等訓練と避難所親子宿泊訓練を実施する予定であります。
これらの訓練は、次世代を担う若い世代の防災意識の向上と、家族単位での防災対応力の強化を図るものとして、地域防災力の底上げに寄与するものと意図しております。
各訓練の詳細な実施内容等については、内容が確定次第、市の広報等を通じて、お知らせしてまいります。
地域の防犯対策については、近年、闇バイトを実行役とする強盗事件が相次ぐなど、体感治安の悪化が懸念されています。
こうしたことから、侵入盗などへの住宅の防犯対策について、市民の皆様の「自助」の取組を支援するため、防犯機器等の購入費や設置費用の一部を補助する「住まいの防犯機器等購入緊急補助事業」を創設し、4月1日から受付を開始しております。
この補助事業では、防犯カメラ、人感センサーライト及び防犯フィルムなど、さまざまな防犯機器等を対象とし、購入費用の一部を補助することで、各家庭の防犯対策の導入を促進しております。
事業開始から2か月間で、86件・約194万円の補助を実施しております。
犯罪を未然に防ぐためにも、御自宅の防犯対策の充実に、この補助事業を活用していただきたいと考えております。
一方、地域を俯瞰した防犯力の向上を図る取組として、街頭防犯カメラの設置を進めております。
今年度は、当初予算に4台のカメラの設置経費を計上しています。
設置にあたっては、子供たちの安全確保を第一に、福生警察署を始め、保護者等と協議の上、地域のニーズと実情に応じた最適な設置場所を決定してまいります。
市としましては、継続的かつ総合的な防災・防犯対策の推進に向けて、「自助・共助・公助」の理念の下、市民、地域団体及び関係機関との連携を一層深めながら、今後もさまざまな取組を実施してまいります。
次に、都市インフラの適正な維持管理についてです。
本年1月に埼玉県八潮市で発生した下水道管の破損が原因とみられる道路陥没事故では、先月、転落したトラックの運転手の方が救出されましたが、残念ながら死亡が確認されました。
市では、この事故を受け、市民や事業者の安全と安心を確保するため、既に市内の下水道管の緊急点検を実施し、異常がないことを確認しております。
国土交通省では、「下水道等に起因する大規模な道路陥没事故を踏まえた対策検討委員会」を設置しました。
本委員会からは、今回の八潮市の事故と同種・同類の事故を未然に防ぎ、国民の安全・安心が得られるよう、下水道管路の全国特別重点調査を実施すべきとの提言がなされました。
この提言を踏まえ、国土交通省は全国の自治体に対し、今年度中に、下水道管路の特別重点調査の実施を要請しています。
調査の対象は、平成6年度以前に設置した直径2メートル以上の下水道管です。
市内では、3路線、778メートルの下水道管が該当しております。
市としましては、着実に調査を実施し、必要に応じて追加調査や補修工事を行うなど、安全対策を講じてまいります。
この調査以外にも、市の下水道総合計画に基づき、マンホール蓋の更新や汚水管の点検、内面補修を実施するなど、予防保全型の維持管理を計画的に進めてまいります。
さて、近年の夏の暑さは、大変厳しいものとなっています。
今年も早い時期から気温が上昇し、都内では5月20日に気温が30度以上となり、今年初めての真夏日を観測しました。
気象庁の季節予報では、6月から8月までの夏の期間の気温について、例年に比べて全国的に高くなることが示されています。
市では、市民の健康を守るため、市公式サイトやLINE公式アカウント等を活用して熱中症等への注意喚起を行うとともに、市の公共施設をクーリングシェルターとして開放するなど、市民の皆様の熱中症対策を促進する取組を実施してまいりました。
これらの取組に加え、今年度は東京都と連携し、市民の皆様の熱中症予防など、暑さ対策を支援するため、夏季の4か月間、水道の基本料金の無償化を実施します。
現在、実施に向けた東京都との調整などを行っており、円滑に開始できるよう、万全の態勢で準備を進めています。
詳細な内容については、準備が整い次第、市公式サイトや広報はむら等を通じてお知らせしてまいります。
次に、福祉施策についてです。
市の人口構造は少子高齢化が進んでおり、引き続き、高齢者支援等の福祉施策や、子供・子育て支援施策に、力を入れて取り組んでいく考えであります。
福祉施策の現状は、支援を必要とする方が増加傾向にある一方で、支え手となる現役世代は減少傾向にあります。
このような厳しい状況にあっても、市民の皆様により良いサービスを継続して提供していくことが求められています。
この課題を解決していくためには、限りある予算を有効的かつ効率的に活用し、適正なコストでサービスを提供する仕組み作りが不可欠であります。
そのため、今年度は、福祉施策審議会を設置し、市が独自で実施している福祉施策について、改革の方向性や時代の潮流への適合性を審議していただくこととしております。
この審議会での議論を踏まえ、真に必要な支援を必要な方に届けられるよう、福祉施策の見直しと充実を図ってまいります。
高齢者の支援に関しては、高齢者が住み慣れた地域でいつまでも自分らしく安心して豊かな暮らしを実現することができるよう、フレイル予防の推進に注力してまいります。
今年度は新たに、高齢者聞こえのコミュニケーション支援事業を実施します。
加齢性難聴に伴う聞こえにくさは、日常的なコミュニケーションを困難にし、地域社会からの孤立や心身機能の低下を招き、フレイル状態に陥る可能性があります。
そのため、補聴器の購入費用を助成することで、高齢者のコミュニケーション機会を確保し、積極的な社会参加を促進することにより、心身機能の維持・向上を図ってまいります。
障害者支援については、長年の課題となっておりました障害児支援の中核機関である「児童発達支援センター」の設置準備が、市内の社会福祉法人によって進められています。
これは、市と、土地・建物の所有者、社会福祉法人の三者において協議を重ねてきた結果、令和8年度中を目途に開設する運びとなったものであります。
市としましては、障害のあるお子さんと御家族への支援体制の充実に向け、センターの円滑な設置・運営に必要な支援を積極的に行ってまいります。
子供・子育て支援施策の充実に関しては、子供が心身の状況や置かれている環境などにかかわらず、将来にわたって幸福な生活を送ることができる「こどもまんなか社会」の実現を目指していくため、新たに「こども計画」を策定しました。
この計画の策定に併せ、こども家庭庁が推進する「こどもまんなか宣言」の趣旨に賛同し、自らアクションに取り組む「こどもまんなか応援サポーター」についても宣言いたしました。
保健センター内には、「こども家庭センター」を新たに開設し、今月から本格的な運用を開始しております。
こども家庭センターでは、母子保健と児童福祉の両面から、妊娠期から子育て期までの長期間にわたって一貫した支援を実施してまいります。
また、児童虐待の防止に向けて、関係機関と緊密に連携し、早期発見・早期対応に取り組むとともに、さまざまな媒体を活用した普及啓発を実施し、地域全体で子どもを守る意識の向上を図ってまいります。
次に、羽村駅西口土地区画整理事業についてです。
現在設定しております令和6年度から令和11年度までの6か年の事業範囲において、昨年に引き続き、三つの優先事項である「仮住まいされている方等への仮換地先の返地の優先」「福生都市計画道路3・4・12号線の早期整備」「駅前交通広場等の早期整備」の実現のために、権利者の皆様の負担軽減に配慮し、施工手順を工夫しながら、効率的かつ効果的に整備を進め、着実な事業の推進を図ります。
また、駅前周辺の将来を見据えたまちづくりについて懇談する機会を設けるなど、羽村駅西口駅前周辺地区のまちづくりに関するイメージプランの作成に向けた取組を進めてまいります。
次に、令和6年度の決算状況であります。
先月末をもって出納を閉鎖し、決算の規模が確定しました。
一般会計決算の状況ですが、歳入は、268億3千441万円、歳出は、258億531万円であり、歳入から歳出を差し引き、翌年度に繰り越すべき財源を除いた実質収支額につきましては、令和5年度よりも約3千400万円多い、9億9千982万円となりました。
なお、一般会計決算の詳細並びに、特別会計及び公営企業会計の決算状況につきましては、決算統計などによる今後の分析を経て、第3回市議会定例会においてご報告いたします。
次に、市内への新たな企業の立地についてです。
この度、アメリカで創業したイチゴの植物工場ビジネスを手がける、日本のスタートアップ企業が、神明台地区に世界最先端の研究開発拠点を開設することになりました。
この企業は、アメリカで、環境負荷の低減に配慮し、自動化を追求した世界最大の植物工場により、日本品種の高品質なイチゴ等の栽培・販売事業を展開し、高級食材として高い評価を得ております。
こうした先端技術を有する企業に羽村市を研究開発拠点として選択していただいたことは、市の産業振興にとっても意義あるものと受け止めております。
市としましては、地域経済の発展に向けて、相互にとって有益な関係づくりに取り組んでまいります。
以上、私の所信の一端と市政運営の状況について申し述べました。
なお、今次定例会には、条例案件5件、補正予算案件2件、財産の取得案件1件合わせて8件の議案を御提案させていただきました。
よろしく御審議のほどお願い申し上げ、私の発言を終わります。