男女共同参画社会の実現に向けては、地域社会の活動の中で、男女がともに責任を分担し合いながら支え合うことが必要です。特に、防犯・防災分野では、男性と女性とそれぞれの視点を反映していくことが重要であるため、女性の積極的な参画が求められています。
今回は、消防団員として活動されている原山栄子さんにお話を伺いました。
羽村市消防団本部 班長:原山栄子さん
平成16年に双葉町松原町内会の町内会長に誘われて、当時行われていた女性防災コンクールに出場したことがきっかけです。その後、消防団に入らないかと声をかけてもらって、やってみたいと思って入団しました。
正直に言うと、興味はありませんでしたね。女性防災コンクールに誘われたときも、訓練もあるし、順位も決まるし、プレッシャーを感じてしまい気が重かったので最初は断りました。でも、町内会長と話しているうちに、とりあえずやってみようということになったんです。
5人1組のチームで練習を始めたのですが、消防署の方が熱心に教えてくれて、チームが団結していきました。防災訓練には毎年参加していましたが、正しい消火方法や動き方などを学ぶにつれ、練習にも力が入っていきました。
大人になってから、何かに真剣に取り組むということがなかったので、すごく新鮮で、受け身だったものが主体的な気持ちに変わっていって、すべてが楽しくなったんです。
コンクールが終わってしばらくしてから消防団の話があり、すぐに入団を決めました。
コンクール当時は、まだ小さい子どもがいたので、母に預けて訓練に行きました。子どもたちには「なんで行っちゃうの」って泣かれましたし、夫からも、「なんでそんなことするの?」と言われました。
訓練は夜で、仕事から帰って、急いで夕食の支度をして出かけるんです。「行かなきゃいけない!」という使命感があり、苦ではなかったですね。消防団にも入団して、今では家族も「いってらっしゃい」という感じです。私は一度決めたらがむしゃらに突き進むタイプなので、家族は止めても無駄だと思っているんじゃないかな。
でも、子どもが少し大きくなって、消防士になりたいと言い出した時期があったんです。うれしかったですね。子どもが小さいころ、私の普段の活動の様子などをよく話して聞かせていて、私のまねをしていたんですよ。
知識を得たことで、普段の生活の中でも気付くことは多いですね。活動前は、消火栓の設置場所や担架にも使えるガードレールなどは、ほとんど目に留まりませんでした。知識を得たことにより、子どもや地域の方にも教えてあげられ、日ごろから意識することで心の準備もできるため、いざという時に役立つと思います。
消防団の活動に限らず、男性の考え方と女性の考え方で違う部分はあると思います。だからこそ、男性だけに任せておけば良いとは思いません。女性だからできないと言われたり、男性優先といった考えは嫌いなんです。でも、女性が何かを始めるとき、すぐに結果が求められてしまうんですよね。一人ではできないことも、みんなに手伝ってもらえば何とかできると思うんです。
例えば、町内会でも自分が動けばほかの人もついてきてくれて、それで盛り上がるし、結束力も高まっていると思います。私は昔から参加しているし、子どもたちも連れていきます。参加してみると楽しいし、みんなに行こうよって声をかけています。男性とか女性とか関係なく、みんな参加すればいいのにって思いますね。
防災に関する知識を得たこと、いざという時に自分が地域の人や誰かの助けになれると知ったこと、それから一番の意義は、仲間を得たことだと思います。
年齢や性別に関係なく、日常生活では知り合うことがない人と仲間になれて、消防団の活動だけでなく、日ごろからコミュニケーションをとったり、時にはみんなでお出かけしたり、良い仲間と居心地の良い場を与えてもらい、消防団に誘っていただいたことに感謝しているくらいですね。
「思っているより大変じゃなくて、やってみると楽しいよ」ということをたくさんの人に知ってもらいたいし、それを皆さんに知っていただくことも私の使命だと思っています。
皆さんも私たちと一緒に消防団活動に取り組みましょう!