国では「すべての女性が輝く社会」として、女性が各々の希望に応じて、職場でも、家庭や地域でも、個性と能力を十分に発揮し、輝くことができる社会を目指しています。
市でも「羽村市男女共同参画基本計画」に、女性のチャレンジ支援や、方針の立案・決定の場への女性の参画促進を掲げ、女性がさまざまな場面で活躍できるように取り組んでいます。
今回は、会社の代表として多くの苦難を乗り越えてきた五島悦子さんを紹介します。
誠産業株式会社
所在地 緑ヶ丘3-4-7 設立 昭和57年7月
エアーコンプレッサーのプロ集団、空圧設備の専門会社として、技術本位のメンテナンスを主軸に、設計からアフターサービスまで迅速に、そして明確に対応していく企業です。
販売部門・修理部門・保全部門それぞれのプロが、豊富な情報と高度な技術を結集した最適なシステムを提供し、顧客から高い評価を得ています。
五島悦子さん(誠産業株式会社 代表取締役社長)
インタビューに応じてくれた五島さん。気さくな受け答えの中にも、会社の代表としての鋭い感性が感じられました。
今から30年ほど前、子どもの学費の足しになればと、午前9時から午後4時までのパートタイムで働き始めて間もないころ、急に社長が退任することとなりました。
当社は、産業用エアーコンプレッサーの販売と保守を行っていますが、エアーコンプレッサーは止まってしまうとお客様への影響が甚大なものとなります。誰かが業務を引き継がなくてはならない状況で、私が希望するしないにかかわらず、代わりに社長に就任することとなりました。
不安もありましたが、引き受けることができたのは、親会社の支えと、自分の持っている「責任感・正義感」が背中を押してくれたからです。
夫や子どもにとっては大きな変化で、負担もかけたと思います。でも、私は私のやるべきことをやっていけばよいと考えていました。
当時は、女性が何かをするということは簡単ではなかったんです。働いているのは男性ばかりで、特に取引先のご担当者が男性という点では不安になったこともよくありました。
でも、女性だからといって理不尽な扱いを受けることはありませんでしたし、わからないことがあった時には、素直に教えを乞うて出直しました。
海外進出のため、ベトナムに駐在事務所を設立したのち、急に景気が悪化して大変なこともありましたが、社員みんなで協力して乗り越え、今では現地法人を設立して4年目に入りました。
また、会社や家庭では一人で二つも三つも役割を背負うことになりましたが、家族の協力に助けられました。
30年前と今では、社会もだいぶ変わりました。家事労働も簡便化されてきていますし、個人の生活スタイルや考え方も変わり、全体的に女性が働きやすい環境になったのではないでしょうか。
仕事をする上では、男性も女性もないと思います。男性であれ、女性であれ、「自分のやるべきことをやる」だけであって、逆に言えば、職場にはそれしかありません。
当社では、重いものを扱うメンテナンス関係の仕事は男性が多いのですが、経理や営業では女性が活躍しています。ひとつのチームで仕事を仕上げてこそお客様から信用を得られるのです。私一人では何もできませんので、従業員には日ごろから感謝の気持ちを伝えています。
特に女性は、やるべきことを頭の中で組み立て、イメージした中で自分を動かしていくことができ、切り替えが上手だと感じています。
子どものことでちょっとした危機はありました。その時は夫と二人で情報を共有して、真剣に子どもと向き合って乗り越えました。大切なのは、関心を持って相手を見つめるということです。それは仕事をしていても、していなくても同じことだと思います。
そんな時でも仕事は淡々とこなしていました。仕事を始めた当初、ある方から「声で雰囲気がわかる」と言われたことがありました。その時からは、自分につらいことがあっても職場では明るく努めるようにしていますし、社員にもそうするようアドバイスをしています。
一方で、子育て中の社員には、子どもの体調がすぐれない時は帰るように言っています。もちろん仕事も大切ですが、今、自分にとって大切だと思う方に重点を置いて考えてみてと話をしています。
また、社内の風通しが良くなるよう、社員旅行で羽村市自然休暇村に行き、パターゴルフやぶどう狩りなどを楽しんでいます。
社員旅行で、北杜市にある羽村市自然休暇村を訪れた時の一コマ。皆さんのチームワークの良さが伝わってきます。
自分にチャンスをくれた前任者や長い目で見てくれたまわりの方々に感謝しています。与えられたグラウンドを少しずつ耕し、広げていって、何とか野菜や果物が実るようになったのだと思います。いろいろな方との出会いがなければ、今の自分は無いと思います。
チャンスがあるならば、やってみればいい。
一つの組織の中で、人をまとめる立場になるということは確かに抵抗があるかもしれません。でも、せっかくチャンスを与えられたなら、やってみればいい。やる前から恐れていても仕方ありません。
自分が選ばれたということに良い意味でうぬぼれながら、また一方ではしっかりと地に足をつけ、責任感を持って取り組むことです。そのうえで、協力者を求めれば支えてもらえるはずです。
つらいこともありますが、面白いと思って取り組んで欲しい。
女性は昔から輝いています。これからも輝き続けましょう!