市では、男女共同参画社会の実現に向け、女性が活躍するための支援などのさまざまな事業に取り組んでいます。誰もが輝く社会の実現のためには、一人ひとりが自分らしく生きていくことが必要です。
今回は羽村市男女共同参画推進会議委員であり、かやの実保育園の園長として活躍中の武藤清美さんに、保育士から見た男性の育児参加についてお話を伺いました。
インタビュー
武藤清美さん(第10 期羽村市男女共同参画推進会議委員、かやの実保育園園長)
男性の育児参加の様子は変わってきていますか?
増えてきた男性の保育参加
そうですね。例えば保育園への送り迎えは、昔は多くがお母さんでした。お母さんの都合が悪い時はお祖母さん。お父さんは3番手ぐらいでした。保育園の行事でも、休暇を取ってまで来るお父さんはいませんでした。
今はお父さんの送り迎えも結構あります。お父さん、お母さんがお互いに上手に協力している家庭が多くなりましたね。保育園の行事にも、家族で参加する家庭が増え、お父さんの参加は当たり前になってきているようです。平日の懇談会にお父さんが来ることも多いんですよ。
昔のお父さんは、保育園に子どもを預ける時に、お母さんから手順のメモをもらっているのにできず、連れてくるだけで精一杯で「後は先生お願い!」ということもありました(笑)。
武藤さんは、なぜ保育士になろうと思ったのですか?
私の家は大家族でした。昔は大人でも子どもでも、すべて男性が優先で、それがすごく嫌でした。だから、結婚しなくても一人で生きていける仕事につかなければと思っていました。
当時、女性が一人で生きていける職業といったら、美容師、看護師、教員、保育士くらい。私は、小さい子どもが好きだったので、保育士を選びました。
就職した頃も、まだまだ専業主婦が当たり前で、結婚や妊娠で仕事を辞めることが一般的でした。産休を取れる職業は教員くらいでした。
働くお母さんたちの言葉が支えに
それでも私が妊娠した時には、保育士も産休だけは取れるようになりました。ただ、私の職場で産休を取ったのは私が初めてで、出産後も働き続けている人はいませんでした。周囲の理解もなかなか得られず「自分の子を他人に育ててもらい、他人の子を育ててどうするんだ」とずいぶん言われました。夫も会社で「何でかみさんを働かせるんだ」などと言われていたようです。
そんなときに支えになったのは、園児のお母さんたちの言葉。「保育園の先生に出産で辞められるのが一番つらい。自分たちは子どもを預けて働いているのだから、保育園の先生にも働き続けて欲しい」と言ってくれました。
その後、どの職業でも産休、育休が取れるようになり、今は女性が働くのは当たり前。男性も家事、育児にだいぶ協力するようになって、良い時代になりましたね。
職場で男女格差や男女の障壁を感じたことはありますか?
保育士は女性職場と言われますが、私の園には理事長を入れて男性職員が5人。多いほうだと思いますが、特に格差や障壁などは感じません。市内の保育園で働く男性保育士の集まり「ホップの会」に参加して、お父さん向けの講座を開くなど、活発に活動しています。
お父さんネットワークの必要性
お父さん同士は、つながりやネットワークを作るのがなかなか難しいようです。送り迎えの時などに、男性保育士やお父さん同士で話をしている姿は結構見ますが、その場だけで終わってしまい、なかなかつながっていかない。お父さんにも、もっと交流して情報交換できるようなつながりができると良いですね。
話を伺い、お互いに協力して家事や子育てをする家族が増えている様子や、お父さんたちには、子育てに困った時に話ができるつながりが少ない状況が見えてきました。
市では、男性保育士が作る「ホップの会」と協力してみんなで楽しむ子育て講座」などを行っています。このような行事に気軽に参加して、つながりを作ってみてはいかがでしょうか。
みんなで楽しむ子育て講座
ホップの会が紹介する親子遊びと、お父さんの手作り料理を楽しむ講座です。年1回、開催しています。開催時期が近くなったら広報はむらなどでお知らせします。
子育てワンポイントアドバイス
子どもを叱る時に、気を付けることはありますか?
子どもをほめる時は保護者みんなでほめて良いのですが、叱る時には役割分担して、誰かが子どもを受け入れる態勢を取ってください。みんなからいろいろ言われると、子どもは居場所がなくなってしまいます。一人が叱ったらもう一人は受け入れる、そのことには触れないで遊んであげたりすると良いですね。